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サン・ドニ門からサン・ドニ通りをパリの中心部に向かって歩いて右側にパッサージュ Passage du Grand Cerf を通り抜けたところでパリ市の市章を見つけた。
市立の保育園/幼稚園 e’cole maternelle の建物だ。
市章の上には国旗が、その上には自由・平等・友愛の文字が埋め込まれている。
<たゆとうとも沈まず> 帆船が市章になっているのは船頭の組合長が代々シテ島を支配してきたことに由来するといわれる。
もともと、パリの守護聖人 聖ジュヌヴィエーヴがフン族の侵略からパリを守った故事 (464年) に起源するともいわれる。
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メトロ1号線 Hôtel de Ville のタイル張り壁面にある市章 は色つきでわかりやすい。
ラテン語で<揺蕩えども沈まず>とあり、
レジョン・ドヌール勲章 Ordre national de la légion d’honneur、解放勲章 Ordre de la Libération (ロレーヌ十字 Croix de Lorraine ) 、第一次大戦の十字 Croix de guerre 1914-1918 が吊るされている。
パリの市庁舎 Hôtel de Ville の2枚の飾り窓にある市章は。。。
波と帆船の上に (王政時代から使われてきた王の紋章/青地に百合の花)
フランスの国花、百合。
シールド (盾) の左にオーク (永続) 、右に月桂樹 (勝利) の小枝をクロスに。
サミットに冠 (王政時代のものではなく、城壁) 。
オルセー美術館 Musée d’Orsay にある市章は。。。
15区区役所の市章
街燈に市章が… 街燈の脚部の多くで見られるので、最も身近なパリの市章と言ってよい。写真はラ・ファイエット通り Rue La Fayette のもの。 例えば、ヴァンドーム広場に行かれたときには街燈にも目お向けてみてください。
ビュット・ショーモン公園の外周鉄柵にあるパリ市章。
左が月桂樹、右がオークになっている。
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消防署に見られるパリ市章
左はパリの市章で、帆船の上に国花の百合が王の紋章風に置かれている。
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レピュブリック広場 Place de la République の中心にある<フランス共和国 (1870 から第3共和政) とパリ市の栄光を記念する碑 (1883)>の台座に取付けられた高浮き彫りのパリ市章。
現在の市章は帆一枚だが、ここでは3枚だ。レジョン・ド・ヌール章は付いていない。
また、左右の小枝は対称形で、いずれも月桂樹のように見える。
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プチ・パレの玄関入り口のゲートにあるパリの市章。豪華さに圧倒されて気付かないかも知れない。 1900年のパリ万博のもの。マストは3本だ。
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モンソー公園の池に架かる太鼓橋に取り付けられたパリの市章。
マストと帆は3本、3枚。 <Fluctuat nec mergitur たゆたえども沈まず>は読みづらくなっている。
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門扉のアーチ部の中心にパリの市章が付けられていて、フランス革命100周年の1889年が刻まれている。
オスマン男爵 (セーヌ県知事) の勧告で1866年にパリ市が買収した。
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四季の泉に刻まれたパリの市章
グルネル通り、<マイヨール美術館 Musée Maillol >のエントランスにもなっている四季の泉に浅浮彫されたパリの市章。
聖ジュヌヴィエーヴが祈りのため上り下りした道として残っているラ・モンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通り Rue de la Montagne Ste-Geneviève の修道院がもう少しという所に円型の<聖ジュヌヴィエーヴの泉 Fontaine Sainte-Geneviève >がある。
聖ジュヌヴィエーヴの丘の頂上に近い険しいロータリーなのだが広場の名は付いていない。
泉のフェンスにはパリの守護聖人 / 聖ジュヌヴィエーヴ所縁のパリの市章が取り付けられている。
パリ市の案内板の向いている方にラ・モンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りが急勾配で下っていて、泉の右側を上ると間もなく頂上だ。
パリの香りを嗅ぐ・・として
古い道で食材店やレストラン等が並ぶムフタール通り Rue Mouffetard (看板の向こうに歩けば通りに至る) 等への散策路 (徒歩・自転車) を案内している。
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元サン・マルタン・デ・シャン修道院:現国立工芸院の北西端にある<緑の森の泉 Fontaine du Vert bois >に見られるパリ市章。
マストは3本、月桂樹が左で右にオーク。パリでは過去において男女別学が多かったため、建物にも男子/女子いずれかが刻まれていることが多いが、ここは共学 Mixte と強調されている。レストラン KOKORO はこの向かい側左手にある。
オテル・ポトツキーのパリの市章
慎重・雄弁・伝令のシンボルであるカドゥケウス Caducée にパリの市章を置いている、。カドゥケウスはギリシャ神話のエルメスが持っている杖 (蛇に咬まれた傷を治す) で、頂部に翼を付け、柄に蛇が巻き付いている。現在、イル・ド・フランス商工会議所として使用されている オテル・ポトツキー Hôtel Potocki はポーランド貴族ポトツキーの依頼による、ジュール・ルブール作の古典主義建築 (1884) 。市章 (商工会議所の紋章かもしれない) の下の要人用扉はブロンズ製の透かし彫りで、ペルタとファスケスをアレンジしたようにも見える。ジュール・ルブールのデザインに基づくクリストフルの制作。
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パリ9区のサン・ジョルジュ支所 (多分) に見られるパリ市章
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ナポレオン1世が建設を決めた5か所の市場 (1811) の1つMarché des Blancs-Manteaux (1819) の建物に見られるパリの市章。白衣 Blancs-Manteaux は元修道院 (1258) の名。
レジオン・ドヌール勲章 (1900) とその下に第一次大戦の十字 Croix de guerre 1914-1918 が吊るされているので、それ以降第二次大戦前に取り付けられたものと思われる。ブドウやザクロなどの果物は豊穣と市場の寓意だろう。
Fluctuat Nec Mergitur 揺蕩えども沈まず
ドメニル大通りに面した<ドメニル幼稚園 École maternelle Daumesnil>に見られるパリの市章。
マストは3本、上にフルール・ド・リスと城壁の冠のパリ市章が、両サイドにフランス共和国のエンブレムRF を配したペルタ (小楯) の上に置かれている。左にオーク、右に月桂樹の小枝が<揺蕩えども沈まず>のリボンでペルタに結わえられている。
パリ市立幼稚園の表記の下には自由・平等・友愛と。
1889年創立のため、勲章 (1900以降) は付いていない。
パリ=ソルボンヌ大学 Université Paris-Sorbonne (パリ第4大学) に見られるパリの市章。帆は3枚。
コリント式列柱の上部、左右4個のペルタ (小盾) の左に1642右に1883。
ソルボンヌのシャペル Chapelle de la Sorbonne に眠るリシュリュー枢機卿 (1585-1642) が再改修した年とその再々改修の年 (新ソルボンヌ) だと思われる。
サン=ジャック通り Rue Saint-Jacques に面した部分で、建物の正面は右側のエコール通り Rue des Écoles 。
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セレスチン Célestins に本部のある共和国防衛隊 Garde républicaine のバビロン兵舎 Caserne Babylone に見られるパリの市章。隊員はパリ市章を着けている。
再建された兵舎 (1934) に付けられた紋章 (1935) で、レジョン・ドヌール勲章 Ordre national de la légion d’honneur (左) と第一次大戦の十字 Croix de Guerre 1914-1918 をぶら下げている。
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<ジャンヌ・ダルクの騎馬像>の作者で、アレクサンドル3世橋の右岸一対の橋柱頂部の彫像の作者でもあるエマニュエル・フレミエ Emmanuel Frémiet (1824-1910) がデザインしたアレクサンドル3世橋の32の燭台の台座に見られるパリの市章 (1900) 。他に、国鳥である「ガリアの雄鶏」や「ロマノフ皇帝章」もある。
背後にモンパルナスタワー Tour Montparnasse 、エールフランス (左) 、アンヴァリッド (右) が見える。
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サン=ルイ島 (左) とオテル・ド・ヴィル河岸、セルスタン河岸 (右) を結ぶマリー橋 Pont Marie (1614-35) に取り付けられた街燈の台座に見られるパリの市章 Blason de Paris 。<揺蕩えども沈まず>の文字、フルール・ド・リス (百合の花) は省略されている。レジオン・ドヌール勲章受賞前のものか?と・・
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聖イノサン Saints-Innocents 教会の墓地の壁に作られた水飲み場:ニンフの泉 Fontaine des Nymphes が原型(1549)。その後墓地の移転と市場 Marché des Innocents の設置(1788)、その再編(1860)を経て現在型に至っている。イノサンの泉 Fontaine des Innocents 四方の隅にある合計8体のニンフの足元にパリの市章が見られる。
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プチ・パレの中庭から見えるパリの市章 / 帆船と波。マストは3本。月桂樹 laurier とオーク chêne の小枝でクロスに囲まれたフランス共和国 R F (1900年は第3共和政) 。金色の月桂樹 laurier の輪を掲げて勝利と栄光を表現する女神達。
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水道栓のパリ市章
フォンテーヌ・ウォレス Fontaines Wallace の仲間で、プチ・モデル Petit modèle de Fontaine Wallace と呼ばれるもの。
ウォレスの私財ではなく、パリ市の資金で設置された水飲み場。
ブロンニャール宮殿 Palais Brongniart (1807) / Bourse 前のブロンニャール広場にある。
パリの市章が鋳込まれている。開けられている左の面が水の出口。
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ピエール・キュリーを紹介されて研究の場を得たマリー・キュリー Marie Curie (1867-1934) が放射能の実験に打ち込んだ (1894-1904) のが ESPCI Paris ( Ecole Supérieure de Physique et de Chimie Industrielles ) パリ市立工業物理化学高等専門大学 (1882) 。名門グランゼコール。
創立50周年記念の銘板 (1932) にパリの市章がある。頭部に「揺蕩えども沈まず」、底部に「自由・平等・友愛」、サイドに「RF と VP」/ フランス共和国とパリ市。帆は1枚、「レジョン・ドヌール勲章」と「第一次大戦の十字」がぶら下げられている。左にオーク、右に月桂樹の小枝。
パンテオン南のカルチェ・ラタン地区の一角で、キュリー研究所、パリ6大学ピエール・エ・マリー・キュリー・キャンパスが近くにある。
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サント=トリニテ教会 (1861-67) 裏のトリニテ通り Rue de la Trinité とブランシュ通りとの交差点にある
パリ市立の幼稚園 École maternelle の壁面を飾る大きなパリ市章。
<揺蕩えども沈まず>はシールドの上部にある。
初等教育の無料化等のジュール・フェリー 法で知られる Jules Ferry (1832-93) が初めて教育相(後に首相)となった年が1879年だ。
市営浴場に見られるパリの市章
パリ4区のサン・メリー地区の市営浴場に見られるパリの市章。上段に<揺蕩えども沈まず>とある。
レジョン・ドヌール勲章 Ordre national de la légion d’honneur と第一次大戦の十字 Croix de guerre 1914-1918 が吊るされている。
ジョルジュ・ポンピドー広場 Place George Pompidou 南側のサン・メリー通り Rue St-Merri に面している。
市営浴場(個室シャワールーム)はパリ市内17か所で運営されているようだ。
フランス共和国/自由・平等・友愛/パリ市 の表示も覗える。
素晴らしいパリの紋章の数々。いながらにして、パリに行ったようだった。ありがとうございます。
画一でないところがフランスらしいかなと思っています。
市役所の飾り窓の市章が気に入りました。この画像を来年1月発刊予定の本に掲載いたしたい。
差し支えないか、至急ご回答願います。ISHIKAWA MASAO
どうぞお使いください。